米澤久子著作リスト


No. 1
標題:手造りの大久保基地包囲/副標題:No:
著者:米澤久子/誌名:労働運動研究
巻号:277/刊年:1992.11/頁:11〜14/標題関連:

ニュースクリッピング

[支局長からの手紙]榊原雅晴・学研・宇治支局長 声に出して読む /京都



「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり」

「鞭声粛々夜河を過る」

こんな文章を集めた明治大学助教授、斎藤孝さんの「声に出して読みたい日本語」(草思社)がベストセラーになっています。

長い間読み継がれてきた名文・名文句を声を出して読み、暗唱する。そうすることで日本語の持つリズムやテンポを体に染み込ませることがいかに大切か、と著者は説いています。

そういえば最近、文章を声を出して読む習慣が少なくなりました。かく言う私も、毎朝の新聞はざっと黙読をするだけ。興味のある記事はじっくりと読みますが、あくまで「情報」を得るためで、「リズム」を楽しむためではありません。

新聞は情報の入れ物であって、文学作品とは違います。ゆっくりと声を出して読むよりも、手早く記事の中身をつかめる黙読に傾くのはやむをえないことでしょう。だからと言って、「リズム感なんて二の次、三の次」でいいはずがありません。

毎日新聞社の「読者モニター」をしていただいている宇治市の米澤久子さんは「新聞記者は自分の記事を、声を出して読んでみてはどうか」と提言しています。

米澤さんは朗読ボランティアを長く続けておられます。1カ月分の毎日新聞の記事をダイジェストし、60分テープに録音し、視覚障害者に届けています。こうした体験から、「活字で読んで分かっても、音訳すると意味が通りにくい文章がある」と痛感されているようです。

耳が痛い!

駆け出し記者のころ、先輩から「自分の記事は3回読み返せ」と教えられました。「できれば声に出して読め」とも言われました。

でも、これって、「言うは易く行うは難し」なんですね。たいていは締め切りのドサクサにまぎれ、「もう少し読み返さなきゃ」と思いながら原稿を手放してしまいます。それに、自分の原稿を声に出して読むというのは意外に気恥ずかしく、なかなかできることではありません。

ただ、原稿を書くのに行き詰まったとき、小声で読み返すことはよくあります。すると、もつれた論旨が解きほぐされ、解決の糸口が見えてくることがあります。言葉の不思議ですね。

さて、この手紙の締め切りが迫っています。もう一度、(声に出して)読み返せるでしょうか……。

【学研・宇治支局長榊原雅晴】


[毎日新聞 2002年4月23日]